経営の神様 松下幸之助に学ぶ企業の3つの責任

人の価値観や環境は時代と共に変化し、企業はさまざまな対応を迫られています。一方で、先見の明と言われるように、先の時代を見越していたかのような経営哲学や経営理念を持った企業ほど、持続的に成長していると感じることはないでしょうか。

経営の神様と呼ばれる松下幸之助氏はパナソニック(旧松下電器)という大企業を一代で築きあげました。その卓越した独自の経営哲学や生きる姿勢は、今もなお語り継がれ、多くの経営者に道を示しています。

そんな松下幸之助氏の遺した言葉には、企業の基本的使命や、いま世界中の企業が取り組み目標に掲げているSDGsにつながるものもあります。

今回は、松下氏自身の著書の中から一部をご紹介し、普遍的な経営哲学の一部を読み解いていきます。

松下幸之助が考える企業の社会的責任

松下氏は1918年(当時23歳)で松下電器の前身となる「松下電気器具製作所」を創業しました。その後様々な困難がありながらも一代で日本を代表する企業へと築き上げ、「5カ年で売上を4倍にする」という計画を4年で達成したり、自社製品のランプを販売店に1万個無料で提供したり、日本で初めて週休2日制を導入したりなど、数々の有名なエピソードが残されています。

1946年にはPHP研究所を設立し、「繁栄による平和と幸福(Peace and Happiness through Prosperity)」の実現に向けた活動や事業にも乗り出しました。また、晩年には大学をはじめとした教育機関などへ多額の寄付をしたり、「松下政経塾」というリーダー養成塾を設立するなど、経済界以外にも大きく貢献しています。

先述のPHP研究所が発行している書籍『松下幸之助 成功の金言365 運命を生かす』の中に以下の一節があります。

いつの時代にも変わらない企業の社会的責任というものが、厳としてあると思うのです。そういう点をしっかりと認識した上で、時代の変化に対応していくということが、やはり企業経営において極めて大切ではないかと思います。

そこで私の考える企業の社会的責任ですが、大別すると、次の三つになると思います。

第一は、企業の本来の事業を通じて、社会生活の向上、人々の幸せに貢献していくことです。これは企業の基本的使命であると考えます。

第二は、その事業活動から適正な利益を生み出し、それをいろいろなかたちで国家社会に還元していくことです。

第三は、そうした企業の活動の過程が、公害というような問題も含めて、社会と調和したものでなくてはならないということです。

引用元:『[改訂新版]松下幸之助 成功の金言365 運命を生かす』松下幸之助[著]PHP研究所[編]

この一節には松下氏の経営哲学がよく表れています。
企業にとって、時代が変わろうとも変わらない社会的責任がベースにあって、その上で時代に合わせて変えていくべきところは変える、という考え方が見えてきます。

第一にある「企業の基本的使命」として、松下氏がビジネス活動を通じて、お客さまや社員を大切にする姿勢が謳われています。
先述したように、今では当たり前となった『週休二日制』を日本で初めて提唱し、「1日は休養、もう1日は教養のために使うこと」を目的として導入するなど、社員の働きやすい環境整備を行いました。ほかにも、経営状態が苦しく、在庫を抱え工場が半日で終わってもリストラをしないで給料を全額払い続けるなど、社員の帰属意識を高めながら働きがいを持てる職場にしていました。

第二の社会的責任は、利益とその使い道についてです。同書の中でも利益を重視している言葉は数多くありますが、その目的はあくまでも利他的なものであり、「企業は社会の公器である」という考えに基づくものでした。松下電器が大きく成長し、社会から必要とされる企業になっていった背景には、このような思想があることが読み取れます。

第三には社会との調和について記されています。
松下電器が事業を拡大していた当時の日本では、工場から流れ出た有害物質による公害病が大きな社会問題となっていましたが、松下電器はそのような状況下でも発展を遂げたことは、社会や環境との調和があってこそだと言えるでしょう。
注意点として、社会との調和という社会的責任がベースにありつつも時代に合わせて変えるべきところは変えていかなければいけません。旧来型の考えでは、どちらかと言えば企業はとにかく利益を出し、そのお金で社会に貢献するという考えでしたが、現代では利益を出す行為そのもので社会貢献することが求められています。地球環境と調和した持続可能な成長は、全ての企業の重要な課題であると認識し、行動していくことは、松下氏が生きていた時代以上に重要になっていくことでしょう。

松下氏の経営哲学がSDGsの実践になる

ご紹介したように松下氏が遺した言葉を紐解いてみると、働きがいや社会貢献、環境への調和など、現代になってSDGsとして一般的になり、認識されるようになっています。松下氏はSDGsが提唱されるずっと前から、経営にSDGsの考えを取り入れていたことがわかります。経営の神様、生きた経営の教科書とも呼ばれた松下氏の経営哲学に触れて、移り変わりが激しく、多様性が求められる現代だからこそ、改めて自分自身を振り返る内容となっていれば幸いです。

※参考文献:『[改訂新版]松下幸之助 成功の金言365 運命を生かす』松下幸之助[著]PHP研究所[編]

【該当するSDGs目標】

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