損害は億単位!?社員のムダな打ち合わせからの脱却方法

忙しい現代人にとって、時間は最も重要な資源です。効率的な業務の推進はビジネスパーソンにとって常に向き合わなければいけない課題であるため、「ムダな打ち合わせをなくしたい」と感じている人は多いのではないでしょうか。
パーソル総合研究所の調査(※1)によると、1,500人規模の企業においてムダな会議による企業の損失額は年間2億円にのぼることがわかりました。また、同調査では「会議をムダだと思っている割合」は、一般社員では23.3%、管理職では平均27.5%が会議にムダが多いと感じていることがわかりました。より組織的視点で会議に参加しているはずの管理職のほうが、会議時間を「ムダ」と感じているということです。
私たちが打ち合わせをムダだと感じるのは、打ち合わせをしても成果が出ていない時や、打ち合わせの目的が達成されなかった時、何も決まらなかった時でしょう。
ムダだと感じず、収穫があったと思えるような会議にするために、何をすれば良いでしょうか?

ムダな打ち合わせをなくすためにやるべきこと

ムダな会議や打ち合わせによる損失を少しでも減らすために、管理職がやるべきことは2つがあります。1つ目は打ち合わせの定義を決めること。2つ目は打ち合わせの方法を教育・指導することです。
次の章からそれぞれ詳しくご説明いたします。

打ち合わせを定義する

「打ち合わせ」という言葉を端的に説明できるでしょうか?言葉の意味が広がりすぎて曖昧になっているために、打ち合わせの場に出席した人の意識がバラバラになっていることがムダな打ち合わせと感じる要因の1つになっていることあります。
定義が曖昧であるために「何となく打ち合わせしておきたい」となってしまう。ですが、向いている方向が違うまま議論しても、成果が出ないのは当然のことです。
「打ち合わせ=何かを決めること」です。
まずは言葉をしっかり定義しましょう。定義されたもの以外は打ち合わせではないと考えます。以下にその例をご紹介します。

実は打ち合わせではない例その1
情報共有のための打ち合わせ時間

他の仕事の時間を調整してわざわざ参加した打ち合わせの場で、単に資料の説明を受けただけ、各自持ち帰り、検討はまた後日・・・・・・これでは何も決まっていないため打ち合わせとは呼びません。
情報の共有が目的であれば、各自のタイミングで内容を確認することができるメールやチャットなどで十分です。また、参加するからには何か質問をしなければという理由から無理矢理疑問を作り出したり、ダラダラと余計な話をすることもなくなります。疑問や質問もメールやチャットで受け付ければ、テキストで記録が残るため、口頭でありがちな行間の補足説明がなくなり、振り返った時にも正確な情報の共有ができます。
資料説明のためだけの時間であれば、「打ち合わせ」ではなく「資料説明」として時間を取りましょう。そうすると、「この説明の時間は本当に必要なのか?」という疑問が生まれる参加者もいるかもしれません。もし、説明の時間がムダだと感じる人が多ければ、打ち合わせ自体を削減できます。

実は打ち合わせではない例その2
相談のための打ち合わせ時間

業務を進めていく中で一人では考えが行き詰まってしまうことはよくあります。そんな時に「打ち合わせすれば前に進む気がする」と考える人もいるでしょう。しかし、これも打ち合わせの定義(何かを決めること)とは異なります。
考えをまとめるために誰かに聞いてほしい、他者の反応を知りたいので、壁打ち相手がほしい、このようなことを相手に「打ち合わせしたい」と伝えてしまうと、意識のズレが生じてしまい、相手側は「結局何の時間だったのか」と残念な気持ちになってしまいます。業務を進めていく上で相談はとても重要です。最初から相談と分かっていれば、そのつもりで準備ができますし、相談として会話が進むのでその場合はムダではありません。「相談」と「打ち合わせ」は切り離して考えましょう

実は打ち合わせではない例その3
親交を深めるための打ち合わせ時間

仕事をスムーズに進めていくためには、社内でも社外でも親交を深めるおしゃべりは重要な意味を持ちます。しかし、打ち合わせで余った時間でダラダラと話をするのは、出席者全員の目的意識が一致していない可能性が高いため非効率と言えます。打ち合わせの時間と混同してしまうと、「後半の30分は何も実りがなかったな」など、ムダな打ち合わせ時間と感じてしまうことになります。打ち合わせ前や終了後に暗黙の了解として雑談を交える風習はありますが、このような場合でも打ち合わせ時間の開始と終了を明確にし、切り離す意識を持ちましょう
社内であれば、親交を深める時間は管理職が設定することで、共通の目的意識を持つことができます。

打ち合わせの手法を指導する

打ち合わせの意味を定義できたら、そのやり方を指導しましょう。打ち合わせのやり方なんて自然に覚えるものだと思われる方もいるかもしれません。しかし、その考えがムダな打ち合わせで1年間に数億円もの損失を生み出している原因の1つです。
プレゼンスキルや部下のコーチングの手法を学ぶことはよくありますが、一般的にプレゼンや面談の機会より、打ち合わせの機会の方が圧倒的に多いはずです。それにも関わらず、打ち合わせの手法を教えているところは少ないのではないでしょうか。打ち合わせの手法を社員にしっかり指導し、ムダな打ち合わせを減らしましょう。

打ち合わせの手法その1
何を決める打ち合わせかはっきりしている。

打ち合わせをするにも事前準備は必須です。必ずしも資料が必要ということではありませんが、出席者全員が「その打ち合わせは何を決める時間なのか」を必ず事前に共有する必要があります。
この時「今後の方針を決めるための打ち合わせ」という場合があります。一見すると決めるのだから良さそうですが、実はこれではまだ目的が浅いため、抽象的な結論で終わってしまう可能性があります。事前により深掘りし、何を決めなければいけないかを明確にしましょう。
例えば、今後の方針をはっきりさせるための予算を決めるのか、事業内容を決めるのか、人員配置を決めるのかなどです。また、打ち合わせ終了後に「とりあえずやってみながら修正していく」という場合はあるかもしれませんが、「実際に何をすればいいの?」と次のアクションが分からないような打ち合わせは失敗しているといえます。次の具体的な行動(今まで通りで何もしないを含む)がわかる結論を出すよう心がけましょう。

打ち合わせの手法その2
目的以外の話の脱線は避ける

打ち合わせ中に話が脱線してしまうことはよくあります。多少の場が和む程度の脱線は認めても良いですが、話している本人は問題提起しているつもりの、意図しない脱線は、軌道修正が必要。例えば、予算を決める打ち合わせで「そういえば、あの時の出張は必要だったの?」や「ここの有料で新しく導入したツールが使いにくいんだけど何とかならないの?」など、一見予算に関わりそうですが、今話し合うべきことではない話題は、深く追求していると他の参加者にとってムダな時間となることがあります。「ついでに聞く」や「原因究明」は、打ち合わせ(何かを決めること)ではないので別で然るべき時間をとって行う必要があると心がけましょう。

打ち合わせの手法その3
無駄に時間を引き伸ばさない

最後の手法は、打ち合わせの時間についてです。打ち合わせでは「決めるべきことが決まったらすぐに終了する」ということが基本であり、その後も会話をする場合は了解をとって行うようにしましょう。この時間を考える上で何よりも大切なことは、「相手の時間をいただいている」という意識です。例えば何かの購入費用として10万円をいただいていたものが、予定よりも安く5万円で済んだとして、残りのお金をムダに使うでしょうか?恐らく余った分は返却するか、話し合って他の施策などに回し、有意義に使うと思います。しかし、打ち合わせとなると、余った時間をダラダラと引き伸ばしていませんか。先述したように親交を深める目的であったとしても、ダラダラと世間話を続けることは人件費のムダ遣いであり、非効率だと心得ましょう。また逆に、「決めたいことが今決められない」と分かった時点で、すぐに終了することも重要です。

注意点は日本独自の打ち合わせ習慣?

打ち合わせの無駄を削減する際に、注意点があります。「打ち合わせ=何かを決める」と定義しましたが、実際に対外的なビジネスの現場では「ではお話した内容で検討いたします」という曖昧な言葉で終わることはよくあることです。
この事象は日本の「相手の心を察する」だったり「空気を読む」文化であるため、海外の方からすると、その場では何も決まっていないようで、実はきちんと進んでいくのは不思議に思われるそうです。
本当に曖昧な状況であれば質問をしてはっきりさせることは重要ですが、社外の方との打ち合わせの場合は無理に結論を急ぎすぎたり、その場ではっきりした回答を求めすぎると良くない印象を持たれることもあるので注意が必要です。

目的を明確にすることがムダ削減の第一歩

ムダな打ち合わせを減らす方法についてご紹介いたしました。仕事とは、決まった時間働くことではなく価値を創り出すことが本質です。DX化によってオンラインの会議も当たり前になってきたことで、気軽に集まれるメリットがある一方、ほとんど関係ない社員まで参加し時間を消費してしまうというデメリットもあります。管理職にとっても、非効率な打ち合わせはできるだけ削減したいという思いはあるでしょう。しっかり目的を持つことでムダな打ち合わせを削減できれば、大きな経費削減と利益の向上にもつながると心得ましょう。

(※1) パーソル総合研究所・中原淳(2017-8)「長時間労働に関する実態調査(第一回・第二回共通)」

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年4月4日時点の内容となります。
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