「仕事に疲れた……」そんな従業員と企業がやるべきこと

疲れが取れない、プライベートで楽しむ時間が取れていない、あるいは仕事量が給料に見合っていない、休みが取れない会社に不満がある……。
そんな、「仕事に疲れてしまった」という従業員が最後に選択するのは離職です。
雇用する企業にとっても、人材不足の時代に優秀な従業員が辞めてしまうのは大きな痛手。まずはお互い、現状を改善することから始めてみませんか。

離職の理由

厚生労働省では、中途採用の従業員が前職を辞めた理由を調査しています。(※)その結果によると、「労働時間、休日等の条件が悪かった」「給料等収入が少なかった」という労働条件に関わることのほか、「能力・個性・資格を生かせなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」という、自身のキャリア形成への不満が上位に挙がっています。
ここからは、福利厚生、給与、与えられる業務や責任範囲などに不満があることが読み取れます。また、職場の人間関係も影響を与えているようです。

従業員にとって満足できない環境で長く働くことは、ストレスになるばかりか、キャリアアップの遅れにもつながります。しかしいきなり離職してしまうのは勇み足。なぜなら、その職場で培ったスキルや人間関係を無駄にしてしまいかねないからです。また、完全に環境を変えることに伴うストレスや、金銭的な負担も発生するかもしれません。離職はあくまでも最終手段と考え、まずは自分の手元でできる範囲で対処してみましょう。
一方で企業も、従業員が心地よく働ける環境整備に努めるべきです。「疲れた」従業員の心理を知って、長く働きたい会社づくりを目指しましょう。

業務環境の改善方法

従業員の場合

まず、従業員が自分でできる改善方法には次のようなものがあります。

  1. 仕事のやり方を見直してみる
  2. 仕事以外のことに没頭する時間を作る
  3. 仕事を離れて休む

詳しく解説していきます。

はじめに業務内容を見直しましょう。ワークフローや役割分担、責任の所在などをあらためてみると、自分がやらなくても良かったり、他の人の方が適任であったりする作業が見えてきます。とりわけ負担が重い業務にこそ、改善の余地が隠れているもの。自分だけでなく、チームの業務改善にもつながります。

終業後や休日は、とにかく仕事のことを考えずに過ごすよう心がけましょう。仕事に関係しない遠い場所に旅行する、スポーツや趣味を楽しむなど、仕事以外のことに没頭する時間を作るのもオススメです。また仕事の合間のストレッチや、会社の行き帰りを散歩の時間にするといった小さい気分転換も効果的。「普段の仕事とは違う行動をとる」ことが気持ちを切り変えてくれます。

それでもリフレッシュできないなら、休んで十分な休養をとりましょう。「休みたくても休めない」という方もいるでしょうが、それは正常な勤務状況ではありません。有給休暇などをとることは従業員の権利ですから、正当な手続きをして休みましょう。

このような対応が従業員自身の手に余る状況ならば、上司や同僚など、信頼できる相手に相談しましょう。相手に全てを委ねるのではなく、状況を変えたいことを伝え、具体的な改善方法をともに考えることが重要です。

企業の場合

「疲れた」従業員に対して企業ができることは、従業員のサポートです。相談しやすい雰囲気づくりはもちろん、業務調整がしやすいような人員配置をする、従業員が休みを取得するのをためらわない企業風土を醸成するなど、労働環境の見直しが必要です。
そのためには、1on1などを活用して従業員とのコミュニケーションをとっておくことも欠かせません。

従業員と相談して上記のような対策を取っても改善しない場合は、異動を検討しましょう。もしかすると今の業務内容やチームとの相性が本人に合っていないだけかもしれません。従業員のストレス軽減だけでなく、企業も経験のある従業員を手放すことなく、新たな活躍の場を提供できます。


生産年齢人口が減少傾向にあり、慢性的な人手不足の時代が続く中、働きやすくやりがいのある職場づくりが求められています。それが従業員にとっても企業にとっても長期的に良い影響を及ぼすことを認識し、労働環境整備を進めていきましょう。

※厚生労働省「令和4年雇用動向調査」

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年8月23日時点の内容となります。
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