人手不足でもできる!飲食店のオペレーション効率化

消費マインドの冷え込み、営業の自粛要請など、コロナ禍が直撃した飲食業界。感染状況が落ち着いたとしても、定着しつつある「巣ごもり消費」の競争は激しくなり、長年多くのお客さまに親しまれてきた飲食店とて安穏とはしていられません。決済領域では変化の波が押し寄せ、人手不足も深刻になる一方です。生き残りをかけ、さまざまな対応が求められています。

人手不足が反転攻勢の足かせに

緊急事態宣言などが解除された後も、一時的に減らしたパートやアルバイトスタッフが十分に確保できず、営業時間の短縮などを余儀なくされた飲食店は多くありました。コロナ禍を経て、人手不足は深刻さを増しています。

帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2022年1月)」(※1)では、「正社員が不足している」と答えた飲食店は全体の65.1%。非正社員では76.6%に達し、人員配置が難しくなっているとみられます。ベテラン従業員の経験を生かすためにも、新しい従業員に早く仕事を覚えて活躍してもらうためにも、効率的なオペレーションが欠かせません。

進むキャッシュレス化。手段ごとに差

効率化すべき領域のひとつとして、多様化する決済手段があります。中でもキャッシュレス決済は需要が高まっています。

2018年に24.1%だった日本のキャッシュレス決済比率。政府は2025年までとした40%の目標を前倒しする方針で、普及が加速しています。中小企業を対象にした経済産業省の「キャッシュレス決済実態調査アンケート」(※2)によると、飲食店は他業種に比べキャッシュレス環境は整っていますが、手段別導入状況ではクレジットカードは58.3%、交通系電子マネーは33.2%、コード決済(二次元コードなど)は68.4%とまだら模様で、必ずしも多様な手段を網羅できていないことが分かります。

飲食店を取り巻くキャッシュレス化の課題は

決済手数料コストの高さが壁に

同じアンケートによると、飲食店でキャッシュレス決済を導入していない理由は「手数料が高い」が最多でした。全業種でみると実際の手数料率は「3%前半」が最多ですが、導入条件については8割が「2%台まで」と回答をしています。

入金サイクルの短縮化と衛生リスク

同じく未導入の理由で2番目に多いのが「入金サイクルが遅いのが困る」でした。キャッシュレス決済比率が高まり、代金回収までの期間が長いと資金繰りに不安が生じかねません。さらに、コロナ禍で衛生面から非接触や非対面を求める利用客が増加。決済手段の多様化をキャッチアップする必要にも追われます。

飲食店で求められるソリューション

人手不足と衛生リスクへの対応は?

経済産業省の「キャッシュレスの現状及び意義」(※3)によると、レジ締め作業に必要な時間はレジ1台当たり25分、1店舗当たり平均1日で153分にもなります。キャッシュレス化によって現金管理の手間を削減し、生産性の向上につなげることができます。

各社からリリースされているソリューションを活用すれば、タッチ決済や多様な決済手段に対応したキャッシュレス決済端末を手軽に導入できます。各サービスの機能性は向上を続け、操作面においてもベテラン従業員でも扱いやすいものが多く誕生しています。また、非接触を求める利用客の声にも対応可能です。

手数料、入金サイクルは各事業者を十分調べてから選択を

キャッシュレス決済を提供する事業者によって、手数料は異なります。1%未満の違いでも売上には大きな影響があるでしょう。カード会社などと直接契約することで、手数料率の引き下げが可能な事業者もあります。
また、入金サイクルも月1回から複数回、最短で「毎営業日精算」が可能など、サービスによりさまざまです。ただし、入金サイクルが短いと資金繰りの面では安心ですが、入金の際に振込手数料が引かれる、振込先の金融機関が指定されるケースも。いずれも、十分調べてから選びましょう。

中食シフトは「新しい生活スタイル」に

コロナが収束したとしても、テイクアウトやデリバリーといった「中食」市場は拡大しそうです。外食・中食市場をリサーチするエヌピーディー・ジャパンの「外食・中食市場2021年計の動向分析レポート」(※4)で、業態別・利用形態別の2019年と2021年の売上比較を見てみましょう。業態:ファストフード+セルフカフェでは、利用形態:テイクアウト・デリバリーの2021年の売上が2019年比で51%増となるなど、レストランのテイクアウト・デリバリーが大幅に増加。レストランの売上に占めるデリバリー比率は、2019年は3.1%でしたが2021年は9.0%に。コロナ禍前の約3倍という伸びです。
また、テイクアウト用のアプリが続々誕生し、アプリを利用するデリバリーサービスも今やインフラと化しつつあります。

現金主義が根強かった日本。キャッシュレスに抵抗感を持つ従業員もいるかもしれませんが、各種ツールの機能性は向上し、導入のハードルは意外に高くありません。変化が激しい中、自店の戦略や現状に照らして多様な販売・決済手段を確保することで、競争を勝ち抜きましょう。

※1 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022年1月)」
※2 経済産業省「キャッシュレス決済実態調査アンケート」(2021年1~3月)
※3 経済産業省「キャッシュレスの現状及び意義」(2020年1月)
※4 NPD Japan, エヌピーディー・ジャパン調べ「外食・中食市場2021年計の動向分析レポート」(2022年2月)

キャッシュレス決済及び法人決済ツールについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年3月13日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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