「DX導入したけど失敗!」を挽回するには

「とりあえずDX」の落とし穴

コロナ禍におけるリモート勤務などもあって、「とりあえずDX(デジタルトランスフォーメーション)」とばかりに、多くの企業がITツールを導入しました。

DXで用いられるITツールは、インターネットを経由してソフトウェアやアプリケーションを利用するサービス、一般にSaaS(Software as a Service)と呼ばれる仕組みを活用することが多いです。SaaSを提供している企業(ベンダー)は数多くあり、ERP(統合基幹システム)、マーケティング、会計、人事、スケジュール管理、ビジネスチャット……と、扱う領域も規模も多岐にわたります。

しかし、ベンダーから説明を聞いて「よさそう!」と導入したものの、業務であまり活用されず、“宝の持ち腐れ”になっている中小企業も少なくありません。

「うちは使えているよ」という会社でも、注意が必要です。よくある失敗例が「これ便利だね」と次々にITツールを導入したものの、全部バラバラでつながっていないケース。ある会社では、勤怠システムと名刺管理、顧客管理、経費精算システム、グループウェアを導入したものの、基幹システムとつながっておらず、給与計算にもデータが直接反映されない状態でした。利用している営業などの現場社員は「作業が効率化した」という感覚で使っています。しかし、管理部門では、テキストデータでダウンロードして加工した上でデータを入れなおしたり、場合によっては入力作業が必要になったりと、煩雑な業務が増えていました。DXでは、一度入力されたデータを徹底的に活用するのが基本ですが、DXのメリットが生かせていない状況に陥っていたのです。

DXに関連する課題は多岐にわたります(下図参照)。

DX推進の課題

DXはあくまでも、ビジョンや経営戦略など、「自社が実現したい未来」に向かうための手段です。DXの推進には、ロードマップの策定や役員や経営幹部への共有、新しい業務フローの策定、社内外の関係者への周知、必要な経営資源の投入も不可欠ですが、そもそもの目的が定まっていない企業も多いようです。

プログラミングの知識はいらない

DXを推進するうえで、最大の課題ともいえるのが、「DX人材の確保」です。上記のアンケートでも、9割近くが「DX推進に関わる人材が不足している」と回答しています。とくに中小企業の場合、知名度や待遇面で人材確保はより難しくなりがちです。システム部がないことが多く、役員層や総務部が旗振りをして、パソコンが得意だと目される若手が担当するのが典型です。

しかし、昔はシステム部門の責任者には一定の専門知識が要求されましたが、SaaSを利用するのであれば、必ずしもプログラミングができる必要はありません。DXはあくまで経営戦略を実現していくのが目的ですから、経営戦略に携わる人材が旗振り役になるのが理想です。

技術的な部分に関しては、社内のシステム管理者を1人選任しておき、何か問題が生じた場合、りそなデジタルハブに問い合わせしていただく形で、DXを推進していくことは十分可能です。会社の使用環境に入って各種ツールの状況を調べることや、使い方のレクチャー、常駐スタッフのご紹介にも対応しています。

データを使い倒す技術

DXは「業務をデジタル化して完成」ではありません。むしろ、そこがスタート地点です。

DXを始めると、さまざまなデータを集められるようになりますが、これを変革に活用しない手はありません。

前提はデータの量が十分であること。BtoB(企業間取引)で100社の取引先より、BtoC(一般消費者向け取引)で3万人の会員から獲得したデータのほうが、価値ある分析につながります。一般には商品単価が高い業種ほど、結果が出やすい傾向にあります。わかりやすいところでは不動産業。年間12軒を売る戸建て住宅の営業担当者なら、DXで業務を効率化して受注を年間1軒増やせば、利益は大幅に伸びるというわけです。

データの集め方にも工夫をこらします。アンケートを取る場合、文章で回答する形式ではなく、選択式などの方法でデータの形をそろえます。パターン化、類型化してデータを分析しやすくしておき、同じ項目を時系列で集め続けます。例えば、小売業なら、住所などの顧客属性と購買行動を掛け合わせたり、時系列で分析したりすることで、浮かび上がってくる傾向もあるはずです。

これまで勘と経験でやってきた人員配置や在庫の持ち方・数量にも、より適正な形が見つかるかもしれません。自社商品の販売サイトの課題を探ったり、出店や物流拠点の最適立地を考えたり、製造上のボトルネックを見つけるなど、業種や課題に応じてできることは無数にあります。

せっかくお金をかけたのだから、「うまくいかなかった」ではもったいない――。りそなデジタルハブには、DXを実現する豊富な知見があります。ぜひ、ご相談いただければ幸いです。

キャッシュレス決済及び法人決済ツールについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年4月7日時点の内容となります。
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