3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2024年春に発行された、関西向けの内容となります。
【Market REVIEW】 2024年は竣工物件も多く、供給エリアの発展に期待が高まる
- 大阪では梅田・淀屋橋・本町エリアを中心にオフィスビルの新規供給が始まっており、三幸エステートによると、2024年では8.8万坪の供給が予定されています。これは2009年の7.5万坪以来の供給量となっています。2025年以降は供給が落ち着くものの、淀屋橋駅周辺の再開発事業、2026年には心斎橋、本町でのプロジェクトも予定されています。また、大阪・関西万博の開催や大阪IRの開業による観光客数の増加、なにわ筋線開業によるアクセシビリティ向上への期待などエリアとしての魅力が高まる計画が多くなっています。
- 地価公示では、引続き大阪圏での商業地最高価格地はグランフロント大阪であり、またコロナ禍から回復が出遅れていた心斎橋などの観光エリアでインバウンドの好調等を背景に高い上昇率となりました。
経済成長率は個人消費の弱さもありマイナス成長
- 内閣府によると、2024年第一四半期の国内実質GDP成長率の速報値は▲2.0%(前期比年率換算、季節調整済)と2四半期ぶりのマイナスとなりました。自動車メーカーの認証不正問題による出荷停止など特殊要因があったものの、個人消費は同▲2.7%と4四半期連続でマイナス成長となっています。ESPフォーキャスト5月調査では、2024年第二四半期は+2.1と以降もプラス成長の予測となっていますが、伸び率は徐々に低下する見込みとしています。また、消費者指数(生鮮食品を除く総合、前年同期比)も2025年第二四半期までは2%台が継続する予測としています。名目賃金は上昇が継続していますが、消費につながる実質賃金はマイナスとなっており、引続き注目が集まります。
インバウンドの旅行客数、支出額ともに増加
- 日本政府観光局によると、2024年4月の訪日外客数は304.3万人(2019年同月比+4.0%)と2か月連続で300万人を突破し、4月までの累計で1,160.1万人と1,000万人を超えました。また、観光庁によると2023年の訪日外国人旅行消費額は5兆3,065億円(2019年比+10.2%)、1人あたり旅行支出は213,000円(同+34.2%)とコロナ禍前を上回りました。費用項目別では、2019年と比べ買物代の割合が減少し、宿泊費への支出が増加しました。
- 宿泊旅行統計調査によると、2024年3月の延べ宿泊者数は2019年同月比+7.2%の5,486万人泊(第一次速報)となっており、外国人宿泊者数は同+33.4%と大幅に回復しています。
近畿圏の中古マンション価格は下落傾向
- 東京カンテイによると、近畿圏の70㎡あたり中古マンションの平均価格は、2024年3月では2,831万円(前年同月比▲2.21%)と下落傾向にあり、大阪府でも3,026万円(同▲2.51%)と3ヶ月ぶりではありますが下落しており、中古マンション市場では下落トレンドにあることがうかがえます。一方、分譲マンション賃料は近畿圏・大阪府ともに上昇しています。
- 不動産経済研究所によると、2023年度の近畿圏の新築分譲マンション平均価格は4,935万円(前期比+5.5%)で1991年度以来の高値となりました。㎡単価では1973年の調査開始以来の最高値を3年連続で更新する83.4万円(同+7.6%)となりました。
大阪市内では新規供給による2次空室はみられず
- 三幸エステートによると、大阪市の2024年4月の平均空室率は4.25%(前月比▲0.05ポイント)と低下しています。大規模ビルは新規供給の影響で2024年初めから上昇傾向にありますが、足元では3.70%(同▲0.03ポイント)とわずかに低下しています。平均募集賃料は13,477円/坪(同+69円/坪)と上昇していますが、概ね横ばいで推移しています。
- 大阪市では大量供給が始まっていますが、昨年は供給が少なったこと、周辺地域からの人材獲得のための移転など前向きな需要が底固いこともあり、2次空室などの影響はあまりみられていません。
【Market TOPICS】関西圏の地価公示
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