企業活動の見直しに必要な「トリアージ」の考え方

変化の早い時代には、ビジネスにおいて取り組むべきことも次々と山積します。その時にキーとなるのが「トリアージ」という考え方。施策で最大限の効果を得るためには、細かいタスクはもちろん全社的な取り組みまで、優先順位をつけることが重要です。

物事の優先順位をつける「トリアージ」

トリアージとは、元々は医療用語です。災害などの緊急事態において、治療や処置の緊急度に沿って患者を分類することを指します。これをビジネスの現場に転用し、主にセキュリティトラブルなどの緊急事態に活用するようになりました。今では業務の多様化、マルチタスク化に伴い、通常業務にも有効と考えられています。
まずはトリアージの基本的な方法をご紹介します。

具体的なトリアージの手法

タスクの重要度を次のように分類し、対応順を決めていきます。視覚的にペンで色分け、色の異なるふせんで仕分けするなど、アナログな方法も有効です。

1. 最優先

優先度が高く、一刻も早く取り掛かるべきもの。締切が近い、遅れると後工程に影響するなどの作業。

2. 非緊急
優先度は中。最優先ではないが早く対応すべきもので、締切が少し先にある、遅れても支障がないなど。

3. 軽処置
優先度は低い。締切がない、手すきの時にやれば良いなどで後回しにして良いもの。

4. 不処置
対応せずに処分するもの。単に対応不要なことや、今の事業範囲では対応できないため断念する、といった事柄も含まれる。

ただ、必ずしも上記のとおりに分類する必要はありません。例えば自分のチームで行えないものは他チームに依頼する、上長判断を仰ぐ、といった対応になることもあるでしょう。
「緊急度合いに応じてどのように対処するか」までをあらかじめ決めて共有しておくことで、いざという時に落ち着いて判断できるのが、ビジネスにおけるトリアージのメリットです。

トリアージを行うための基準設定が重要

「タスクの緊急度によって、手をつける順番を決める」という基本的な考え方は医療現場と変わりませんが、重要なのは「どういった基準で緊急度を判別するか」です。
例えば納期、売上や決算時期など、事業成果に直結する事柄のほか、サステナビリティやCSRといった社会貢献の視点で決めるケースも増えています。
このような規模でトリアージを行う際には、自社の事業に関する十分な知識や展望を持った上でタスクの重要性を見極め、優先順位をつけられるだけの経験や知識が求められます。そのため、プロジェクトリーダーや経営層が手がける場合も往々にしてあるでしょう。
経営方針に合った業務の優先順位を設けることで、全従業員がその方針に則した判断を個々でできるようになるというメリットがあります。

さらにタスクを実行するには、チームのリソースだけでなく、他部署の業務内容を正しく把握していることも重要になります。なぜなら他部署に依頼するケースや、管掌外の事案はその分野に明るい人に相談する必要も出てくるからです。日頃から広く従業員とコミュニケーションを取り、いざという時に依頼しやすいような関係を築くようにしましょう。
そして、時には「やらない」「断念する」という思い切り(決断力)もリーダーには必要です。

仕事術の活用で最大限の効果を!

トリアージ以外にも、効率的で効果的な仕事術は他にもあります。例えば「メールを3人に送る」「2つの会議書類を作る」といった同じような作業をまとめる「バッチ処理」や、一度に完璧を目指さず7〜8割方仕上げて全体的に進める方法など、世界で活躍する実業家も実践しているような仕事術です。

ただ、案件の規模が大きくなればなるほど一気に完成させるのは難しい上、経営層ともなればステークホルダーとの関係性や10年後20年後のビジョン、社会情勢との関わり方など考えなければならないことは膨らみます。
事業拡大、人手不足の時代における人材育成、SDGsなど取り組むべきことが多様化し、常にアップデートする必要もある中、限られたリソースの中でどう優先順位をつけて実行するかが成功のカギ。一気に進めるのか、長期目標として少しずつ進めるのかは経営判断にかかっています。

最良の結果を得られるよう、さまざまな仕事術を組み合わせて取り組みましょう。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年5月31日時点の内容となります。
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