企業年金は大企業だけのもの!?従業員の将来を守るベンチャー創業社長の心得

あなたの会社には企業年金がありますか?
東京都産業労働局が行った「中小企業の賃金・退職金事情」に関する調査(※1)で中小企業の約7割に退職金制度があり、そのうち約3割が退職年金、つまり企業年金制度を導入していることがわかりました。企業年金は大企業だけのものではないのです。
老後資金は自己責任と言われる時代の中、2,000万円とも3,000万円とも言われる金額をどうやって作っていけばよいのでしょうか。
従業員の将来を守る社長として、他社に先駆けて年金制度を整えることは、従業員を守ることにもつながります。
また、事業の将来性に不透明な部分が多く、人材確保が難しいベンチャー企業では、転職先として選ばれる理由の一つになるかもしれません。
企業年金の可能性を探ってみましょう。

老後資金をどのように設計するか

少子高齢化の進展により公的年金の財源が厳しくなってきています。支給開始年齢の引き上げや支給水準の引き下げといった措置が取られている中で、公的年金だけに頼る生活設計では、老後の豊かな生活が難しくなる可能性があります。

老後の資産形成を自ら考えなくてはならない時代に、どのような設計を行えば良いでしょうか。

まずひとつ確実に言えるのは、「老後資金は現役時代に貯めておくものである」ということです。老後が間近となってからの対応では、日々の生活に余裕がなくなることも考えられます。また、ライフサイクルの中ではマイホーム購入や教育費などまとまったお金がかかる局面もあることから、若いうちから資産形成を始めることで余裕を持つことができるでしょう。

老後資金は公的年金・企業年金・自助努力という三方向から考えることができます。
それぞれに対して、いつまでにどれだけの額が積み上がるのかのシミュレーションを行って、相互補完できるような設計が必要です。

公的年金・自助努力は本人の年齢や生活水準、ライフスタイルなどによります。企業として企業年金を準備し、従業員の将来への不安を少しでも解消することで、優秀な人材がベンチャー企業を選択することにもつながるのではないでしょうか。

企業型確定拠出年金(企業型DC)がベンチャー企業におすすめの理由

従業員の将来を考えて年金制度を導入する場合、どのような制度を選べばいいでしょうか。
企業の年金制度には確定給付企業年金(DB)・企業型確定拠出年金(企業型DC)・厚生年金基金などの種類がありますが、近年では企業型DCを導入している企業が増えています。

もし、あなたの会社がベンチャー企業であれば、企業型DCをおすすめします。

その理由として、ベンチャー企業に勤める従業員は比較的若い世代が多いため、長い時間をかけて資産を形成できること、企業型DCは60歳まで引き出しができないことから、若いうちによくある無駄遣いを避けて資産を作っていくことが挙げられます。また、年金の引き出しが可能になるのは60歳から75歳の間となるため、DC年金→公的年金の順番で受け取るといった設計が可能です。

新たに企業型DCを導入した後は、継続的に投資に関する教育を行う必要があります。その結果、投資や資産形成に明るくない人を含め、従業員の金融リテラシーの向上につながります。投資教育は企業型DCを運営する金融機関に委託することができるため、分かりやすく作られた投資教育ツールの提供を受けられます。

さらにベンチャー企業は、人材が流動的である点も企業型DCと相性が良い部分です。企業型DCはポータビリティ(持ち運び)できるため、中途採用者は前職で溜まった企業型DCの資産を持ってくることが可能で、逆に退職する際にも転職先への持ち込みができます。

先行きが不透明な時代において、年金制度は従業員の不安を和らげる効果があります。導入することにより、「自分のやりたい仕事に挑戦したいけれど、ベンチャー企業では将来設計が心配」という不安を持つ入社希望者を減らせるかもしれません。

また、会社として従業員の老後の生活まで考えているという点において、企業年金がないベンチャー企業と比較して人材採用の競争力向上が見込まれるでしょう。
従業員の将来を守る、企業年金。社長として考えてみてはいかがでしょうか?

※1 東京都産業労働局 「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」

企業年金について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年8月5日時点の内容となります。
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