求職者のニーズを意識した採用方法とは

採用活動を行う際、求職者のキャリアに対するニーズや仕事への価値観を把握しようと心がけていますか。企業や組織には求める人物像がありますが、それに近いキャリア構築のイメージを持つ求職者を見極めることでミスマッチがなくなり、円滑な採用やその後の定着率を高められます。

求職者のニーズや価値観、志向性を把握することは極めて重要です。採用に活かす具体的な方法とともに、詳しくご説明します。

求職者の志向を把握する意味

総合転職支援サービス企業の調査によると、転職のきっかけとして最も多かった回答は「やりがい・達成感のなさ」(40%)。「成長感がない」との回答も24%と高い割合です(※1)
つまり、自分が求めるキャリア像が今の会社と合っていないと感じ、転職を考える人が多いといえます。
組織や企業が求める人材の採用や従業員の定着率改善には、求職者のキャリア志向を見極め、企業と方向性が一致することが重要だと分かりますね。

キャリアアンカーの見極めを

では、どのように求職者の志向性を理解すべきでしょうか。有用な方法に「キャリアアンカーを活かす」ことがあります。
キャリアアンカーとはキャリアを選択する際に最も重視する基準や価値観のこと。周囲が変化しても譲れないものを指し、アメリカの心理学者エドガー・シャインが8項目挙げています。

1. 管理能力

管理職につくのが最善との考え。
問題解決やマネジメント、人の世話をするのが好き。

2. 専門・職能別能力

ある分野におけるエキスパート志向。
挑戦し続け成長し、他の人より正確かつ生産性高く仕事を遂行。

3. 保障・安全

継続性や安全性を重視。
リスクを回避し、社会人生活を一つの企業で終える人が多い傾向。

4. 起業家的創造性

新規事業や開発などクリエイティブな仕事を志向。
組織の維持や所属にこだわらず、独立・起業の可能性もある。

5. 自立・独立

仕事は自分で決めたやり方で。
基準や規律、場の空気に従うことは嫌い。

6. 奉仕・社会活動

自身の能力を発揮するより、いかに人の役に立つかが大事。
サービス業界を目指す人にこの傾向が強い。

7. 純粋な挑戦

全力で挑める困難な問題と、そこから得られる刺激を希求。
一つの仕事をマスターすると別の仕事を求め、多様なキャリアを積む可能性。

8. ワークライフバランス

自身の中で確立した生活スタイルに合わせて仕事を選ぶ。
時には仕事より私生活を重視。

採用活動では、例えば面接で「人生やキャリアで何を重視するか」「3年後にどんなキャリアを積んでいたいか、そのために何を優先に考えたいか」など、キャリアアンカーを確認する項目を含めることで、求職者のポテンシャルを図れます。
ただし、キャリアアンカーは優劣を評価する指標ではありません。この点は注意が必要です。キャリアアンカーは社会人として経験を積む中で形成されるものでもあるので、新卒採用にはあまり向かない点も留意しましょう。

求人情報改善の契機に

キャリアアンカーは求人情報の改善にも活用できます。求人票や会社のホームページに、キャリアアンカーの要件を盛り込んだ人物像を明記するのです。求職者は自身の価値観や志向性と合致するかイメージできます。

採用活動のみならず、キャリアアンカーは従業員の配属やキャリア構築にもプラスになります。価値観や志向性を知り、よりふさわしい仕事を任せることもできるでしょう。働きやすく生産性の高い職場づくりにつなげられます。

採用や人材管理に何か課題を感じているなら、一度キャリアアンカーを指標に求職者や従業員のニーズ、価値観の把握に目を向けてはいかがでしょう。

(※1)エン転職1万人アンケート「転職のきっかけ」実態調査(2020年8月)

人材戦略について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年12月15日時点の内容となります。
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