「優秀な人材にようやく出会えたにもかかわらず、入社前に内定辞退されてしまった……」
そんなこまりごとに遭遇する企業も少なくありません。もしかすると、求職者のニーズに沿った採用活動ができていないのではないでしょうか。
求職者は募集内容はもちろん、選考方法の多様化などにも注目しています。いずれも社会情勢の変化が顕著に表れるポイントですので、自社が対応できているか確認してみましょう。
求職者が注目する企業の採用活動のポイント
1. 募集要項の内容が満足いくものか
募集要項(求人票)には、給与・賞与、業務内容、勤務形態などの基本情報が記載されるため、企業からするとさほど変わらないように感じるかもしれません。しかし、終身雇用が当たり前ではなくなり、転職も視野に入れた人生設計をする人が増加している中、その基本情報にこそ注目が集まっているのです。
例えば年収という点では、適正年収かどうかだけでなく給与レンジ(いわゆる等級別の給与幅のこと)、あるいは将来にわたって満足いく収入が得られるかもチェックされています。
求人情報サイトのdodaの調査(※)によると、2023年の平均年収は20代で約350万円、30代で約450万円、40代で約510万円、50代で約600万円。自社の給与体系が平均と比較してどのような状況か、把握しておくと良いでしょう。
また、募集要項に福利厚生の内容や働き方改革への取り組みを記載することもオススメです。ワークライフバランスを大切にする社会情勢に合ったものになっているかが、正式入社を決めるかどうかの判断基準にもなっています。
これらの基本情報は採用活動だけでなく、今いる従業員の待遇にも直結します。人材の流動化が進む中で、長く勤めてくれる従業員を確保することも安定した経営には重要なポイントです。
2023年末に集計された、転職市場の動向調査も参考になさってください。
2. 選考方法の多様化に対応しているか
これまでは求人情報を求職者が見つけ、書類選考と面接を経て採用、という流れが一般的でした。基本的には同じフローで進みますが、カジュアル面談やオファー面談を追加し、求職者とのコミュニケーションをとる企業が増加。オンライン面談も普及しており、これらに対応できる企業かどうかも見られています。
こうした新たな面談方法においては、募集要項からは読み取れないことをざっくばらんに伝えられる点がメリットです。例えば職場の雰囲気や同僚・上司の人柄、求職者に求める業務内容や成果、自社が抱える課題からその求職者を採用するに至った理由などがそれに当たります。
求職者の長所や強みを聞いた上で、求職者が自社で活躍できる未来像を伝えることも、内定辞退を防ぐ1つの手段になりそうです。
選考期間が適正か
多くの求人情報に簡単に接触できる今、1つの企業の内定をいつまでも待ってくれる求職者はそう多くはありません。長く待たせすぎると内定辞退につながりやすい上に、意思決定の時間が長いということは、実務上も支障があるような良くないイメージを持たれてしまう可能性もあります。できるだけ早く返答することはもちろん、残念ながら不採用となった方にも必ず連絡するようにしましょう。
転職は、求職者の人生を大きく左右する重要な決断です。
企業が優秀な人材に出会いたいのと同じように、求職者も良い企業と出会いたいと考えているもの。たくさんの情報の中に埋もれることなく、優秀な人材に選ばれる企業になるために、採用活動も社会情勢に適したものにアップデートしていきましょう。
(※)転職サービスdoda「日本のビジネスパーソンの平均年収は? 平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】」(2023年12月4日更新)
人材戦略について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。