若い人が辞める会社、残る会社の特徴は?

今や2人に1人が転職経験者と言われている時代。インターネットの普及で多くの情報に容易にアクセス出来る現代では、自社と他社の比較も簡単に出来てしまうため、自社と比べて良い条件の会社があれば簡単に転職を希望されてしまいます。
また、有効求人倍率はここ数年1.0倍を超え(※1)、売り手市場となっていることから、企業の持続的な発展のために定着率向上の取り組みは至上命題といっても過言ではありません。
若者が「辞める会社」と「定着する会社」は一体何が違うのでしょうか?
それぞれの代表的な理由についてご紹介します。

若者が求めるものと企業の定着化対策のギャップ

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査(※2)によると企業が強化している定着化対策と、若者が求める定着化対策を比較すると大きく乖離している項目がいくつかあります。

最も差が大きいのが「賃金水準を引き上げる」(30.1%)で次いで「仕事と家庭の両立支援策を充実させる」(14.0%)「休日をとりやすいようにする」(10.8%)「業務量を適正化する」(7.6%)と続きます。
企業が対策しているつもりでも若者が求めている部分とギャップがあればそれが辞める理由になってしまいます。

①給与水準が低い

最もギャップの多かった(不満の高かった)項目は給料についてでした。初任給は入社前から分かっていることが多いですが、給料の低さが原因で辞めるということは想定していたよりもサービス残業など実際の業務量が多く割に合わないことや、将来的な昇給が見込めないなどの理由が考えられます。この給料の基準は地域性や同業他社との比較によって生まれます。隣の芝は青く見えるものですが、同業よりも著しく低い場合には改善の必要があるでしょう。

また、最初は低くともキャリアプランの中で昇給が見込めれば離職を防止できる可能性はあります。しかし、上司や先輩を見て自身の思い描くキャリアプランの実現と、キャリアアップに応じた給料の増加が見込めなければ、働くモチベーションを維持できないかもしれません。キャリアプランを見据えた、明確で納得できる給料体系を作成するとよいでしょう。

労働条件・環境が悪い

2番目は「家庭と仕事の両立」、次いで「休日の取得しやすさ」が続きました。
平均残業時間や有給休暇消化率などは定着率向上のための重要な指標です。近年は女性の社会進出により、男性の育休も当たり前になってきています。有給休暇と同じく、制度を設けるだけではなく、実際に活用している割合が高いことや、活用しやすい雰囲気づくりができているかにも注意しましょう。

③業務量が多すぎる

4番目に差が大きいのは、「業務量の適正化」でした。
これは給料と業務量が割に合っているかということにも関連している指標です。そのほかにも、特定の部署やチームに大きな負荷がかかっている状態は社内の不満や不協和状態を生みやすくなり、人間関係にも影響するポイントであることに留意しましょう。他部署をサポートできる体制を作ったり、必要に応じて適切な人員配置を検討し、業務の負担ができるだけ公平に分担できるようなシステムを構築しましょう。

例えば、社員同士でサポートし合うことを評価基準に取り入れるなど具体的な制度にすることによってチームワークを高めたり、コミュニケーションを活性化させることもできます。

若手社員の離職にお悩みの方は、まず若者が何を求めているのかを理解し、これらの条件を改善・整備したり、それが難しい場合はしっかりと理由を説明し納得してもらうことが重要になります。

さて、ここまで若者が離職する理由についてご紹介しましたが、逆に若者が定着する企業とはどんな企業でしょうか?

若者が定着している会社とは

若者が定着する企業では、もちろん上記の3つの項目が他社と比較して優れていることが第一の条件にあげられます。そのほかに先述したデータで興味深いのが、5番目に乖離が大きかった項目が「社員の意見・提案を経営に反映させる」(5.2%)であることです。

厚生労働省の若年者雇用実態調査(※3)でも、若者の転職理由は、賃金や休日などの条件の次に「仕事が自分に合った会社にかわりたい」「自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい」が入っています。

これは今の若者が、自分の能力を活かせることや、自分の行動を自分で決めること、自分を認められたいという願望の表れでもあります。これらの願望は、給料や昇進のような他人に決められた目標に向かう動機ではなく、一人ひとりの内側から自然に出てくる動機であり、「内発的動機」と言われます。社員が求めているものを取り入れて定着させるためには、この内発的動機づけを活性化させる仕組みを構築することに注力しましょう。

具体的には、お客さまと直接やりとりをすることがない社員に対してお客さまの感謝の声が届くような仕組みを作る、などが考えられます。また、内発的動機を押し込めてしまうことがないように社内の風通しを良くして発言しやすい雰囲気を作ることも重要です。それによって自信や社会的承認性が高まることで、さらに内発的動機になることが期待できます。このような好循環が生まれる状態を作ることができれば、社員の生産性も上がり、定着率が一層高まるといえるでしょう。

マイナスをゼロにする作業とプラスを作る作業は別

以上のように、企業側が離職防止のためにしている努力と若者が企業に求めている対策にはギャップがあることが明らかになっています。

給料を上げることなど、社内の制度を変えることは簡単ではないかもしれません。しかし、仮に周囲と比較して一定の水準に届いていない場合は、人材確保のために一定の水準まで条件を引き上げる必要があります。そして内発的動機づけは定着率向上に有効であることは証明されていますが、それはあくまでもプラスの要素です。まずは自社の給料水準や労働環境が他社と比べてどの程度の位置にあるのかを把握しましょう。その先に、内発的動機づけとなるような社内の仕組みを構築することで、若者が定着すれば、採用コストも下がり業績が向上することも期待できるでしょう。

(※1)厚生労働省 一般職業紹介状況(令和3年12月分及び令和3年分)について
(※2)独立行政法人 労働政策研究・研修機構 若年者の離職理由と職場定着に関する調査
(※3)平成 30 年若年者雇用実態調査の概況(厚生労働省)

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年4月4日時点の内容となります。
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