カリスマという言葉にはいくつかの使われ方があり、並ではない超越的な能力を持つ者を称したり、人気がある・知名度があるといったように他者からの評価を指す場合もあります。古代から支配方法の一つでもあったようで、他の者より圧倒的に優れた資質を持つ者がカリスマ的支配を行なってきました。ビジネスの世界においては「カリスマ経営者」というのも、よく耳にする言葉です。
◆カリスマ経営者とは?
カリスマ経営者とは、どのような人物を指すのでしょうか?
強いリーダーシップを発揮している、新しい事業へ果敢にチャレンジして成功を収める、グローバル展開で華々しい業績を上げるなどのイメージがあるのではないでしょうか。
長者番付のトップを争うカリスマ経営者たちのストーリーとして、二代目に社長の座を譲ったものの、業績が芳しくないため社長に返り咲く、というエピソードを持つのは一人や二人ではありません。
長者番付に載らずとも、カリスマ経営者として結果を出すには、意思決定の早さ、決断力、向上心、ビジネスチャンスを掴む力などの優れた点が想起されます。部下や従業員の尊敬を集め、慕われる存在となっているでしょう。反面、権限委譲できず従業員が成長しない、二代目が育たないという問題も起こり得ます。先述の長者番付に載るようなカリスマ経営者でさえ、なかなか解決が難しいようです。
◆先代と違う強みで自分に自信を持つ
二代目が育たず創業社長が長く君臨する会社もある一方で、うまくいっている二代目社長がいることも事実。創業社長がカリスマ的な存在だった場合には、少しでも自身もそのような存在に近づきたいと思い悩む二代目社長も多いでしょう。
しかし気をつけたいのは、先代と二代目は別の人間であるということです。生きている時代が違えば、年齢もバックボーンも違うため、同じ経営スタイルにはなり得ません。
創業社長とて最初からカリスマ性があることは希少でしょう。二代目社長としては、カリスマ性は「これから身につけていくもの」と開き直りたいものです。
そして、自らが持つ強みに目を向けましょう。たとえば、このようなものが挙げられます。
- 若さ:心身の若さは何にも替え難き強みです。
- 今の時代を知っていること:時代にマッチしたビジネスモデルを創出する上で欠かせません。
- ロールモデルの存在:身近にカリスマ創業者がいる場合、大いなるロールモデルとなり、恵まれた環境とも言えるでしょう。
◆自信を能力に。能力を実績に。
カリスマ性のある先代のもとで二代目社長が自分に自信をつけることは難しいことかもしれません。しかし、自信を能力にするため、まずはやれる事をやってみませんか?
たとえば社内の現状を知ること。創業社長は長い社歴の中で社内の業務を把握できていることが多いですが、すべて知っているとも限りません。また、創業社長と二代目社長では視点が違います。今、改めて二代目社長が社内を把握することは社長としての能力を高めることにつながります。創業社長が長年の勘でやってきたことも、IT化が進んだ現代では業務に関するデータとして可視化でき、その分析も随分と容易になっているのではないでしょうか。一方、事業は人と人とのコミュニケーションで成り立っている部分が多いため、従業員との対話を疎かにすべきではありません。二代目社長が自分自身の考え、思いを従業員に理解してもらうこと、そして従業員の考えや思いを理解すること。名実ともにカリスマ性を得るためには業績を上げることに加え、社内外の様々なステークホルダーから信頼を得る事は不可欠です。
業績を上げ続けられるようになるまでは不安や孤独があり、やるべきことをやれば全員がカリスマ性を身に付けられるわけではありません。自分にはなかなか難しいかも……そう感じた時には方針を転換してもいいのではないでしょうか。
たとえば創業社長が一人でやっていたことを、いくつかのチームに分けるような考え方もあります。ワンマン経営からチーム経営へ。また、そのハイブリッド型などビジネスの可能性は無限大です。
若い二代目社長だからこそ、失敗を恐れないチャレンジ精神はカリスマ性発揮の兆候となるかもしれません。
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