大企業では管理職向けの研修が充実している場合もありますが、教育を受けないまま管理職になった方も少なくないでしょう。人材マネジメントの手法を知ることで、管理職の役割が明確になってきます。ここでは数ある手法の中から「ジョブ・アサインメント」をご紹介します。
ジョブ・アサインメントとは?
「ジョブ・アサインメント」とはチームリーダーなどの管理者がメンバーに対して業務を割り振ることです。アサイン(assign)という言葉には「割り当て」や「任命」という意味があり、任命したことに責任を持ち、その過程でフォローすることが管理者の役割と言えます。
多様なメンバーが集まり、その総合力によって大きな仕事を成し得るのが会社やプロジェクト。リーダーとして誰にどのような業務を任せるかが、チームの目標達成に大きく影響します。
アサインにあたってはチームが目標を達成できること、またメンバーがプロジェクトの経験を通して成長できることを目指し、任命者自らも最後まで伴走する心構えが必要です。
アサインするにあたってのポイント
業務を割り振る前に、リーダー自らがプロジェクトのゴールを十分に把握することが必要です。ゴールを明確にしてから、そこに至るまでの職務を細分化・タスク化します。
チームメンバーにタスクを割り振る場合には、各個人は何が得意で何が不得意なのか、あるいはこれまでの業務スキルや対人スキル、意思決定スキルなどを考慮の上で割り振ることが大切です。
普段からメンバーとのコミュニケーションを通じて、個人の性格やキャリアパスをできる限り把握しておきましょう。
その上で、メンバーにモチベーション高く仕事に取り組んでもらうにはコツがあります。
例えば複数人ではなくあえて単独での目標達成を任せたり、本人の実力より少し高い目標にチャレンジさせたりすることも有効です。また、部下自身がその業務にあたることを選択できるように促すことで、より強い責任感を持たせることもできます。
そのためにもアサイン時には、なぜその職務を任せるのか、どのような成長を期待しているのかなど、丁寧な説明を心がけましょう。さらに、リーダーへの報告事項を明確にし、それ以外は権限委譲して自主的に動いてもらうようにすると、部下の成長にも繋がります。
その際は、顧客や関連部署といったメンバーを取り巻く環境にも目を向け、必要に応じて根回しをしておくこともリーダーの大切な役目です。
アサイン後のチェックポイント
アサイン後のポイントは、メンバーとのコミュニケーションを怠らないことにあります。
しかし「コミュニケーションを取る」と意識するだけでは難しいため、仕組みを作ってみてはいかがでしょうか。例えば朝礼や日報の活用、定例会の実施、デジタルツールなどを利用することで、定期的にコミュニケーションを取りやすくなります。
コミュニケーションのタイミングで、リーダーは進捗や問題を把握するように努めましょう。トラブルを察知した場合には適切な助言や介入を行い、軌道修正を図ります。時にはリーダー自らが問題の解決を行うなど、プロジェクトの完了まで目を配ることが重要です。
ジョブ・アサインメントをチームの成長に繋げる
近視眼的にならないために、プロジェクト完了後もアクションが必要です。失敗を共有し、振り返りを行うことが次のプロジェクトやメンバーの成長に繋がっていきます。メンバー自らの話だけではなく、顧客や業績・関連部署の評価など、周りの反響もフィードバックできると良いでしょう。
ジョブ・アサインメントにおいて重要なのは、「チームの成果」と「人材育成」という2つの観点からアサインを考えることにあります。
短期的なプロジェクトの成功や業績達成だけでは、長期的な視点で考える必要がある人材育成面での成功と一致しないこともあるでしょう。しかし、「失敗も成長の糧」と考えられるような心構えを持つことこそがリーダーの仕事なのではないでしょうか。
このように、アサインするだけでなく、その前後にもリーダーには重要な役割があります。そのひと手間を惜しまないことで、部下はモチベーション高く業務にあたることができ、ひいてはそれが成果に結びつくはずです。
プロジェクトの成功体験を積み重ね、サイクルさせることで自社の成長とメンバーの成長に繋げていきましょう。
課題解決の考え方について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。