企業ステージ別、創業社長が乗り越えるべき壁

かつてとあるビジネス誌で「会社の寿命は30年」という言葉が掲載され、大きな話題になりました。聞いたことがある方もいるでしょう。
それでは、30年という寿命は本当なのでしょうか?
2021年に倒産した企業の平均寿命が23.8年だったというデータ(※1)からも、あながち間違いではない数字とも言えます。
しかし、20〜30年という寿命は短い気もしますし、もっと長続きさせたいと思う創業社長がほとんどだと思います。
20〜30年の間にも会社のライフサイクルがあり、各ライフサイクルには壁があります。壁は社内にある場合、社外や外的要因が壁になる場合など、ライフサイクルによってさまざまでしょう。壁を乗り越えて、企業の寿命を延ばしたいものですよね。今回はライフサイクルごとに社内で立ちふさがる壁とその対策について考えてみましょう。

資金繰りが壁となる創業期

創業社長が主体となり、ビジネスモデルや商品といった売り物を武器に会社を回し始めるのが創業期です。
中小企業庁の「2017年度版  小規模企業白書」(※2)によると、創業期に利用した資金調達方法は、第1位「経営者本人の自己資金」が80.2%と圧倒的に高い数字ですが、第2位「民間金融機関からの借入れ」(34.9%)とほぼ同率の第3位として「家族・親族、友人知人等からの借入れ」(34.0%)となっています。
会社の知名度の低さから、従業員を雇用する際も社長の親族や知り合いに声をかけるなど、身の回りから探すことが多いでしょう。
また、売上が大きくないため販路開拓といった、売上を立てるための課題が大きく、営業努力に奮闘する時期です。
売上があってもお金が入ってくるのが後だから給料が払えない、取引先への支払いができないといった黒字倒産をしないためにも、この時期の資金繰りは最重要事項です。最初から財務に詳しい社長は少ないため、給与や経費の他、売掛金や税金など出ていく時期がさまざまなお金の管理に四苦八苦する方も多いでしょう。会社の財政状況・現金の動きを日々チェックすることで、入ってくるお金と出ていくお金、その時期を明らかにし、さらに多少の余剰資金を持つことで乗り切りたいところです。一般的には必要な経費の2〜3ヶ月分程度の手元資金があると安心だと言われます。
とにかく走り続けるしかない自転車操業期でもあるので、社長一人の力量で乗り切る会社が多いのではないでしょうか。

成長期の壁は人材確保

徐々に売上が計上され続ける時期にはさらなる売上アップのため、人材確保が一番大きい課題となってきます。創業期を支えてくれたメンバーが辞めていくなど、従業員の入れ替わりも起きてくる時期です。
人材獲得にもコストがかかるため、この時期には何に・いつ・どれくらいお金をかけるのか、経営戦略や経営管理が必要になってきます。どの事業に注力するのか、売上予測を立て、必要な人材を考え、経費を計算するなど、会社としての計画を立てて管理していくことが安全な経営につながります。また、しっかりと財務諸表を整え、対外的にも今後の計画が説明できるようになれば金融機関や投資家から資金調達を行える可能性も高まり、成長期の壁も越えられるでしょう。
従業員が増えるにともなって、会社環境や組織体制の整備も不可欠です。会社のビジョンの共有や具体的な組織目標を立てたり、会社の移転・備品の購入なども計画に入れておく必要があるでしょう。

安定期に長期的な経営・事業承継を考えられるか?

財務的にも人材的にも安定してくると、未来のための投資ができるようになってきます。 質の高い人材の確保は恒久的な課題になるため、継続的な採用への投資や、現在の事業とは異なる新規事業への投資など、いわゆる先行投資が計画できます。先行投資に成功すれば、さらなる投資へと好循環が生まれるでしょう。

会社の行く末を考えると、世代交代を考慮した採用・育成、業務ノウハウを継承するための教育が不可欠になってきます。
また、会社自体の承継を考え始めてもいい時期です。

事業承継する場合、次期社長候補を選定し、引継ぎが完了するまでには5年から10年かかると言われています。また、社内に適当な人材が見つからない場合は、M&Aなど外部への事業承継をする可能性も考えられます。創業社長としては、自分の後継者が決まることほど安心できることはないでしょう。事業承継は早めに取り組んでも損はなさそうです。

創業期から安定期に至るまで、利益を確保し続けることは会社の使命です。しかし、事業承継を検討する場合、財務状況の判断は難しいので信頼のおける金融機関や会計士などの相談先を見つけておくことが大切です。また、経営者交流会、異業種交流会などに参加してみるなど、社長ならではの悩みを分かち合う相手がいると壁を乗り越える時の支えにもなるでしょう。一人で頑張りすぎずに周りを頼るような考え方も手に入れたいものです。

※1 東京商工リサーチ「倒産企業の平均寿命23.8年 3年ぶりに上昇【2021年】」
※2 中小企業庁「2017年度版 小規模企業白書」

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年7月1日時点の内容となります。
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