従業員目線で魅力アップ。社内制度、見直してみませんか?

先代が創業した当時と今で違うのは、マーケットや顧客だけではありません。時代とともに、従業員の価値観や、社会が企業に求めるものも移り変わります。特に人手不足と言われる今は、社内に目を向ける重要性も高まっています。従業員に愛着とやりがいを持ってもらうため、働く環境や居心地を良くすることは、会社の安定的な成長に欠かせません。変化を求め、会社を客観的に見る機会もある二代目社長こそ、従業員に寄り添って企業価値を向上させたいものです。

従業員の満足度を高め、「魅力ある職場」づくりを

「顧客満足度」(CS)という言葉は耳になじんできた感がありますが、最近では「従業員満足度」(ES)なる尺度も取りざたされています。厚生労働省の調査(※1)によると、従業員と顧客の両方の満足度を追求した「魅力ある職場」では、従業員の意欲が高まり、業績・生産性が向上し、人材確保がスムーズになる傾向があります。ポイントは従業員の目線に立ち、その満足度を高めることだといいます。

経済産業省が提唱する「健康経営」とは?

一方、経済産業省は「健康経営」の推進を呼びかけています。これは、「従業員らの健康を保ったり増進させることは、将来的に収益性等を高める投資である」という考えに基づき、「経営的視点から健康管理を考え、戦略的に実践すること」といった趣旨です(※2)

同省の展望で注目すべきは、「健康経営」が業績や企業の価値向上につながると期待されている点。従業員の健康と活力が高まることで、経営課題を解決する基盤が強化され、優秀な人材の獲得や定着につながって生産性がアップし、イノベーションの源泉が生み出されるというイメージが描かれています。

従業員を思う気持ちから生まれる、ユニークな制度

厚労省の「魅力ある職場」づくりも経産省の「健康経営」も、従業員を大切に思うことが、結果的に企業価値の向上をもたらす意味では同じです。とはいえ、その思いを一から形にするのはハードルが高いかもしれません。

そこで、従業員にも社会にも興味を持ってもらえそうな事例を参考にするのはいかがでしょうか。ユニークな社内制度を紹介します。

健康リスクを減らし、安心できる環境をつくる

事務用品など販売する株式会社ワークスマイルラボでは、従業員の満足度が顧客満足度と会社の発展につながるという考えが根っこにあり、ESの向上を徹底します。たばこを吸わない人への「禁煙手当」、禁煙外来の費用を会社が負担する「禁煙サポート支援」、医療費の全額会社負担といった、安心できる健康支援の制度があります。

コミュニケーション円滑化で新たなビジネスを

GMOインターネットグループでは各地のオフィスに、同僚らが気軽に集まって交流できるコミュニケーションスペース『シナジーカフェ 「GMO Yours」』があります。24時間利用でき、食事やドリンクは無料。毎週金曜日の夜はバーにもなります。読書や昼寝のほか、スキルアップの場として使え、新たな技術やサービス創出につなげたい考えです。

休み方も工夫でさまざま。業務改善につなげる余地も

休暇も、アイデア1つでさまざまな波及効果をもたらせます。

  • Yahoo! JAPANには、「課題解決休暇」なるものがあります。社会の課題を解決するために、従業員には、仕事以外の時間でもボランティア活動を通じて誰かの課題解決を行って社会に貢献してほしいという思いから、年度で3日を上限として休暇を取得できるようにしています。
  • 株式会社サイバーエージェントでは、独自の女性活躍促進制度として「macalonパッケージ」を導入。「エフ休」は、女性特有の体調不良の際に、月1回取得できる特別休暇です。また女性の有給取得申請はすべて「エフ休」に統一することで、上司や周囲に利用用途が分からないよう配慮されています。その他にも、専門家による個別カウンセリングを受けられる「妊活コンシェル」や「卵子凍結補助」などがあります。
  • マーケティングDXを支援する株式会社イルグルムにあるのは、山奥で隠居するように9日間連絡が遮断される「山ごもり休暇」。休暇に入るタイミングで自動的に引き継ぎを発生させることにより、業務の共有を促進し、属人性を排除するねらいです。

将来の安心に向けて、年金制度も大きな支えに

従業員のモチベーションと定着率を高める上では、長く、安心して働ける企業年金制度も大きな支えになります。給付額が確定している「確定給付企業年金(DB)」や、掛金が確定している「企業型確定拠出年金(DC)」があり、金融機関へ委託することで、資産保全と事務負担の軽減を図れます。

効果的な制度は企業によってさまざまで、奇をてらう必要はありません。従業員の幸せを考えるトップのメッセージが、より良い職場につながるはずです。

(※1)厚生労働省「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」(2016年6月20日発表)
(※2)経済産業省「健康経営の推進について」(2022年6月発表)

人材戦略、企業年金について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年12月15日時点の内容となります。
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