中小企業の働き方改革!従業員の残業時間、守っていますか?

少子高齢化が進んでおり、労働人口の減少が確実視されるようになりました。
そのような時代において一億総活躍社会が実現できるようにとの目的から、政府による「働き方改革」が推進されています。世界の中でも長時間労働といわれていた日本ですが、「働き方改革」は進んでいるのでしょうか?

働き方改革とは?

誰もが活躍できる「一億総活躍社会」とは、働きたい全ての人を受け入れられる社会です。どのような人でも包摂され活躍できる社会を目指すために、現在まで多くの取り組みが行われています。
中でも働きやすい環境を作るための「働き方改革」は重要施策であり、「長時間労働の解消」「正規社員と非正規社員の格差解消」「柔軟な働き方の実現」を目指してさまざまな法案が成立しました。
とりわけ「長時間労働の解消」については2010年に労働基準法が改正され、企業は所定外労働時間の削減に積極的に取り組んでいます。

2023年4月から中小企業にも適用される割増賃金率の引き上げ

働き方改革関連法案の施行開始時期は企業規模によって異なり、今後も次々に施行される予定です。
直近では、中小企業の適用が猶予されていた所定外労働時間の法定割増賃金率の引き上げが2023年4月から実施されます。(※1)
月の時間外労働が60時間を超えてしまった場合「割増賃金率の引き上げ」か「代替休暇の活用」が必要になるという内容で、違反した場合には、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」とする罰則規定も設けられているため、従業員の残業時間を適切に管理する必要があります。

割増賃金率の引き上げ

超えた時間に対して割増賃金率50%以上を支払う。

割増賃金率の変更点

代替休暇の活用

割増賃金率の引き上げ分(25%)支払いに代え、代替休暇(有休)を与える。

代替休暇の付与
※例外として建設事業・自動車運転の業務・医師など一部の業種では猶予期間が続きます。

あなたの会社で取り組むべきことは?

施行にあたり、該当する中小企業では就業規則の変更や、より細やかな残業管理が必要になります。例えば勤怠管理を月末に紙で提出するような方法では、時間外労働が60時間を超えそうな場合に捕捉できないため、結果的に人件費が跳ね上がってしまうなどして会社の財務に影響を与える可能性もあります。就業規則の変更については厚生労働省のモデル就業規則を参考にすると良いでしょう。

また、勤怠管理を確実に行うためDX化など対応を検討することも必要ですが、生産性を向上させ、労働時間の縮減等に取り組む中小企業事業主に対し、その実施に要した費用の一部を助成する「働き方改革推進支援助成金」があります。相談先も準備されていますので利用してみてはいかがでしょうか。

社内においては、時間だけを縛ってもサービス残業や持ち帰り仕事をしてしまうという労務的な問題が起きてしまうため、そもそも無駄な残業がないか、業務量を把握し、無駄な工数をなくす業務改善や業務効率化を考える契機にもなります。
もっと働きたい! という従業員も存在する場合には、仕事以外の時間が充実するような福利厚生を充実させたり、給与的な面ではベースアップ・賞与額アップ・副業可とするなどの対策も検討できるでしょう。


労働人口が減り続けて各社が働き方改革を進めている中、残業が多い企業は選ばれなくなりつつあります。残業時間が少ないことは採用時のアピールポイントにもなるため、選ばれる会社を目指し、また会社を存続させるためにコンプライアンスを遵守した勤怠管理を実施しましょう。

※1 厚生労働省(時間外労働の割増賃金率等の変更について)を元にりそな銀行が図表を作成

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年12月2日時点の内容となります。
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