世代ごとの価値観や行動は、他の世代から見ると「自分とは常識がまったく違う」と感じられるもの。自社の社員との円滑なコミュニケーションに、または顧客の分析に、世代ごとの特徴を理解しておくことは企業として欠かせません。世代ごとに価値観や求めるものは異なり、対応を誤れば社員の退職や企業価値の低下を招く可能性も出てくるかもしれません。また、世代による違いを知らずにいると、ビジネスチャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。
そこで今回は、変化の激しいこれからの世の中を担う「Z世代」に注目し、特徴などを読み解いていきます。
Z世代とは
「Z世代」とは、もとはアメリカで生まれた俗称であり、明確に定義されているものではありませんが、日本では1995年後半から2009年までに生まれた世代をZ世代と呼んでいます。ミレニアル世代の次の世代であるため、ポストミレニアル世代とも呼ばれています。その人口は国連の統計(2019年時点)によると全人口77億人中の32%を占め、消費者としても今後の就労者としても軽視できるものではありません。
それでは、「Z世代」の特徴を見ていきましょう。
特徴1 ソーシャルネイティブ
Z世代は生まれたときからすでにインターネットが存在しており、スマホ等のデジタルデバイスでネットを介して他者との情報共有を当然のものとするソーシャルネイティブとして育ってきています。生活環境にインターネットが自然なものとして組み入れられているので、SNS等をコミュニケーションツールとして身近なものと認識しており、利用率も非常に高く、情報の発信と収集という行為に慣れ親しんでいるのです。
SNS等を通じて社会的、国際的な話題と自分の身の回りの話題などを一律に「自分に関わる情報」として同列に考えるのも特徴です。彼らに何かしらの情報を効果的に訴求するためには、SNS等の利用はもちろんですが、情報発信源にも注目すべきでしょう。自身も情報を発信する立場でもあるので、テレビで有名な人物より、自分に近い友達やインフルエンサーに親近感を覚えるようです。
特徴2 QOL(クオリティ・オブ・ライフ)重視
仕事とプライベートのバランスを大切にしており、仕事に多大な時間と労力を捧げるような働き方は好みません。日本能率協会マネジメントセンターが新入社員、つまりZ世代に行っている調査(※1)でも結果が出ています。「業務時間外について、どのような考え方を持っていますか」という問いに対し、A「自分のプライベートな時間なので、会社からあまり関与されたくない」、B「必要に応じて、仕事を円滑に進めるための時間にあててもよいと思う」の2択を用意しました。すると、Aが3年連続で70%を超える回答となりました。プライベート重視の生活スタイルを好むことが伺えます。
特徴3 楽観しないリアリスト
社会は不安定であると認識しており、自身のスキルアップには積極的です。そのため資格取得や知識・能力向上のため自己啓発などに意欲的に取り組む傾向が見られます。
ただし、この傾向は上昇志向というよりも、「いつどうなるかわからない」という不安が原動力であり、何かあったときのために自分の市場価値を高めておきたいという安定志向ゆえの行動でしょう。上述の調査でも、「この1年間で、自分の能力を高めようという意識は高まりましたか?」という問いに対し、「高まった」と回答した人が3年連続で上昇しており、特に2021年の新入社員では90.4%と高い数字が出ています。
ここまでZ世代の特徴をご紹介してきましたが、もちろんこの特徴がZ世代すべてに当てはまるわけではなく、あくまで世代という大きな括りの特徴でしかありません。
世代の傾向とその背景を理解することは、社員個人への理解の一助となるでしょう。また顧客分析にも欠かすことのできない要素となります。Z世代がこれからの経済活動の中心を担っていくことは明らかであり、これに対応するためにも新世代への理解は企業にとってマストのことではないでしょうか。常に「次の世代」への理解を怠らないようにしていきましょう。