中途採用の求人を出しても思うように人材が集まらない――。もしこのような状況になったら、採用担当者はもちろん、経営者としては頭が痛いことでしょう。原因の一つとして求人情報の出し方や具体的な採用方法など採用活動のフローが挙げられます。募集から内定に至る一連の流れに見直すべき点がないかどうか考えてみましょう。
ターゲット設定は適切か
中途採用の候補者は新卒者に比べ自身のスキルを自覚しており、「企業がどんなスキルや人物を求めているのか」という点にシビアです。従って、ミスマッチを防ぐためにも、候補者のターゲット設定はより具体的であるべきでしょう。欲しい人材について単に「コミュニケーション能力が高い人」とするのではなく、「人間味のある対応ができる、相手の話をしっかり聞くことができる能力がある」など、掘り下げた設定を意識したいところです。
一方、条件を狭めすぎない方がいいケースもあります。例えば経理事務で「簿記2級」を必須要件にして該当者が少ない場合、資格要件を外すことで経理経験者を確保できることがあります。例えば介護業界では介護に興味のある人材を幅広く募集し、働きながら資格取得を促すことも多いです。欲しい人材の条件を厳密に規定するのか、少し枠を広げて考えるのか、現状を踏まえて検討しましょう。
自社の価値観を伝えているか
中途採用は、求職者と企業の価値観がマッチングすることで成立します。求職者は個々の価値基準に加え、以前所属していた企業の社風や文化と比較して新たな企業の選考基準にすることもあります。従って、求職者は「自分の価値観と照らし合わせて、自分にマッチしている企業か否か」判断できる情報を求めているのです。
求人情報に業務内容や労働条件などを具体的に記すことは当然として、会社のカルチャーが伝わる発信を心がけましょう。例えば社員何人かが発信者となり、それぞれが社内の雰囲気や社風、考え方や理念を伝える方法があります。特に求職者のほとんどが確認する自社のホームページで、これらの情報がきちんと伝わる仕様になっているでしょうか。うまく伝わっていれば求職者に好印象を与え、転職潜在層の掘り起こしにもつながるかもしれません。逆にホームページがきちんと整備されていないと、検討する企業から外される可能性が高くなります。
また、同じ名前の企業が他にもあると、インターネットで検索した際に違う企業が上位表示されることも。SEO対策を行っているコンサルティング企業を活用して改善を図る必要もあります。
複数の募集方法を活用しているか
中途採用の候補者が情報収集に利用するサービスは実に多彩。株式会社マイナビの調査によると、企業のホームページに留まらず、転職サイトやハローワーク、SNS、ダイレクトリクルーティング、口コミサイトなど多岐に渡ります(※1)。採用時期や難易度に応じてさまざまチャンネルを活用しましょう。また、人材紹介会社を複数利用している企業も多いのですが、サービスごとに採用率や候補者の集まり方は違うはず。現在の募集方法が成果を出しているか、定期的にチェックし見直しを図りましょう。
従来の選考方法に縛られていないか
採用活動は「書類選考→面接→内定→採用」が一般的です。しかし、採用がうまくいっていないと感じるなら、この流れが自社にとって最善か再検討すべきかも。優秀な人材を直接スカウトするなど、より積極的な方法も取り入れてみましょう。特に大企業との獲得競争が避けられない場合、いち早く動けば優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
内定後も緊密な意思疎通を図っているか
内定者が出たから安心、というわけにはいきません。内定者が抱く不安や悩みの解決に向けた体制が整っているでしょうか。
とりわけ中途入社の人材は、働き方や入社後のプランについて当人独自の「軸」を備えているものです。その軸が適合したからこそ内定に至るわけですが、実際に仕事を開始するまでの間に、さまざまな疑問や確認事項も出てきます。そこにきちんと対応できる仕組みがあるか否かは非常に重要です。内定辞退につながらないよう、内定者と密なコミュニケーションを取っていきましょう。
専門家の助言も活用を
中途採用がうまくいかないときは、必ず理由があります。まずはこれらの項目を見直すことが大切ですが、根本的な解決に結びつかないことも考えられます。その際は外部の専門家にアドバイスを仰ぐことを検討してもいいかもしれません。
(※1)株式会社マイナビ「転職動向調査2020年版(調査時期2019年)」
人材戦略について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。