社長に「SDGs」を理解してもらうための5つのPとは?

SDGsが国連で採択されたのは2015年。SDGsとは持続可能な世界を目指す開発目標のことで、環境問題や社会問題など世界共通で取り組むべき課題から成ります。色とりどりの17目標のアイコンもよく見かけるようになり、日本でもあちこちでさまざまな取り組みが行われています。
「自社でもSDGsを取り入れた事業展開、経営を考えたほうがいい」と社長に進言しても、「よく分からないし、まだ先でいい」と言われてしまうという声も聞きます。
17も目標があり、世界共通の目標なので自社とのつながりがイメージしづらいのかもしれません。いきなりSDGsを説明するよりも、まずは「5つのP」から社長に話してみませんか?

5つのPを知ろう

SDGsが採択された2015年の国連サミットでは150を超える加盟国首脳の参加のもと、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が成果文書となりました。2030アジェンダでSDGsは「誰ひとり取り残さない」- leave no one behind -というスローガンの元、持続可能な世界を実現するための行動計画が立てられました。この「2030アジェンダ」に書かれているのが17目標であり、169のターゲットになります。目標もターゲットも数多く感じられますが、17目標と169ターゲットは「5つのP」であるPeople(人間)・Prosperity(豊かさ)・Planet(地球)・Peace(平和)・Partnership(パートナーシップ)を重要な要素としており、SDGs17目標の根幹にある決意です。それぞれのPをご紹介しながら17目標を5つに当てはめていきましょう。

SDGs「5つのP」
※ 国連広報局 SDGsを広めたい・教えたい方のための「虎の巻」より

People(人間)

あらゆる形態と次元の貧困と飢餓に終止符を打つとともに、すべての人間が尊厳を持ち、平等に、かつ健全な環境の下でその潜在能力を発揮できるようにする

People=人間に関する分野では17目標でいうと1から6の目標にあたります。全ての人間が幸せに豊かに暮らせるよう解決すべき課題が挙げられています。目標1「貧困をなくそう」に関して、日本においても「子どもの貧困」は社会問題になっており、厚生労働省の調査(※1)では子供の7人に1人が貧困状態にあります。そして、その約半数がひとり親世帯です。離婚などの理由から、ひとりで子どもを育てるため、やむなく非正規雇用を選ばざるを得ず、給与が少ないケースも多いです。これは、目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」にもつながります。性別に関係なく働きやすい環境を整えることはすぐにでも検討できるでしょう。多様な人材が活躍することにより、事業にも好影響が起きることも考えられます。

Prosperity(豊かさ)

すべての人間が豊かで充実した生活を送れるようにするとともに、自然と調和した経済、社会および技術の進展を確保する

Prosperity=豊かさに関する分野は17目標のうち7から11番目に当たります。人間の豊かさを目標にしながら、それが自然と調和するものであることを掲げています。働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)などを掲げる目標8は、どのような企業でも、すぐに検討できるでしょう。

Planet(地球)

持続可能な消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急な対応などを通じ、地球を劣化から守ることにより、現在と将来の世代のニーズを充足できるようにする

Planet=地球のPは17目標の12から15番目になります。末長く人間と地球が共存できるよう、大量生産・大量消費から脱却し、生産にも消費にも責任を求めています。これら4つの目標のうち、いずれかひとつでも自社の事業と直接関連がある企業も多いのではないでしょうか?例えば、目標12「つくる責任 つかう責任」では、「小売店や消費者が廃棄する食料を半分に減らし、生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」というターゲットがあります。

Peace(平和)

恐怖と暴力のない平和で公正かつ包摂的な社会を育てる。平和なくして持続可能な開発は達成できず、持続可能な開発なくして平和は実現しないため

Peace=平和は17目標の16番目、ただひとつだけの目標です。平和でなければ、公正でなければ、持続可能な世界はないと明言し、その重要性を表現しています。

Partnership(パートナーシップ)

グローバルな連帯の精神に基づき、最貧層と最弱者層のニーズを特に重視しながら、すべての国、すべてのステークホルダー、すべての人々の参加により、持続可能な開発に向けたグローバル・パートナーシップをさらに活性化し、このアジェンダの実施に必要な手段を動員する

Partnership=パートナーシップもただひとつの目標です。17目標の最後であり、SDGsウェディングケーキモデルでも最上段に位置するため、この目標がSDGsの肝だとわかります。私たち一人ひとりが担い手であることを意識し、あらゆる国・機関・団体・会社・人などが協力し合って目標に取り組むことが重要です。

※ウェディングケーキモデルについてはこちらの記事もご覧ください。

いかがでしたか?5つのPでSDGsがイメージできたでしょうか?
限りある資源を抱えた「地球」で「人間」が「繁栄」していくために、「平和」と「パートナーシップ」を持って課題に挑む。そのようなSDGsの世界観が拡がってきたのではないかと思います。

SDGsは地球に生きるすべての人間に関わり、持続可能な社会を目指すには企業のあり方も見直す必要があるのです。まずはこの記事をきっかけに、あなたの会社の事業と5つのPのつながりを探すところから始めてみませんか?

※1 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査」

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年7月15日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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