自動車業界におけるSDGs、注目すべき目標とは?

自動車業界が注目すべき7つの目標

脱炭素に向けた取り組みが注目される自動車業界ですが、すそ野の広い自動車業界では、取り組むべきSDGsの目標が数多くあります。日本自動車工業会によると、自動車産業が最も大きく関わっているSDGsのゴールは7つ。3「すべての人に健康と福祉を」、7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、8「働きがいも経済成長も」、9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、11「住み続けられるまちづくりを」、12「つくる責任 つかう責任」、13「気候変動に具体的な対策を」——の7つです。

脱炭素の流れと新技術

現在、最も注目されているのは、2020年に経済産業省などが策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に向けた、CO2排出量の削減でしょう。2020年度の日本のCO2直接排出量10億4400万トンのうち、運輸部門は17%超を占めます。自動車メーカー各社は、ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車など、さまざまな新技術を開発しており、サプライヤー各社も対応に追われています。これは、SDGsの13「気候変動に具体的な対策を」と関連した動きといえます。

また、7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」とも関連しています。さらに、この7番目の目標に関しては、最終製品のみならず、サプライチェーン全体での電力消費削減や、再生可能エネルギーへの切り替えといった取り組みにもつながっています。

ダイムラーが提唱した「CASE」

9「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、自動車業界で取り組みが加速しているCASE※と密接に関連しています。また、このCASEを目指した技術革新は、SDGsにおける目標3「すべての人に健康と福祉を」にも大きく関連します。例えば、自動運転は交通事故の削減に寄与すると期待されています。また、福祉車両などの進歩も、この目標に貢献するものになっています。

  • Connected(コネクテッド=ネットワークに接続した車)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング化)、Electric(電動化)の頭文字を取った言葉。2016年、ドイツのダイムラーが「パリモーターショー2016」で提唱したのがはじまり

さらにCASEのS(シェアリング化)は、SDGsの11「住み続けられるまちづくりを」とも関連するはずです。福祉介護の領域での共同送迎サービスなど、シェアリングサービスが、特に過疎地域における人々の足として活躍するケースが出てきています。

リサイクルや働き方改革もSDGsに大きく関連

12「つくる責任 つかう責任」は、前述したようなクリーンな自動車づくりはもちろんのこと、循環型社会の構築に向けて、資源の有効活用に向けた取り組みを加速させることが必要となります。具体的には、資源調達から廃棄まで、サプライチェーンの関係者と協力しながら、資源を有効活用し、リサイクルへの取り組みを加速させることがあげられるでしょう。

8「働きがいも経済成長も」については、自動車メーカー本体のみならず、サプライヤーを多数擁しており、多くの人が働いている産業としては、非常に取り組みがいのある課題ではないでしょうか。昨今叫ばれている女性活躍や、障がい者雇用の推進、LGBTへの理解ももちろん、シニア・ベテラン層の活躍機会の拡大、人材育成や最適配置に向けた取り組みなど、見ていくべき領域は多岐にわたります。

また、製造業ですから、工場現場の作業員たちの安全も、この8番目の目標と密接に関連する大切な観点です。労働現場における安全衛生マネジメントは、これまで以上に多くの企業が力を入れるべき課題となりそうです。

以上、自動車産業が特に関係が深いと考えられる、SDGsの7つの目標について取り上げました。SDGsは目標が多岐にわたり、「どこから手をつけたらいいか、よくわからない」との声も多く聞かれます。自動車関連産業の方々は、まずはこの7つの目標から調べて取り組みを始めてみることも、有効ではないでしょうか。

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年12月15日時点の内容となります。
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