不動産レポート2023年春(首都圏版)

首都圏版不動産マーケットレポート2023春

3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2023年春に発行された、首都圏向けの内容となります。

【Market REVIEW】米国中堅・中小銀行の不安定化で景気軟着陸の可能性高まる

  • りそなアセットマネジメントチーフストラテジスト 下出 衛
    米国中堅銀行の破綻に端を発した信用のひっ迫により、米国の景気減速は避けられないものの、「軟着陸(ソフトランディング)」は依然可能と考えられます。
  • 銀行が貸し出し態度を厳格化すれば、借入依存が高い企業は積極的な事業展開が難しくなり、雇用を抑制せざるを得なくなります。その結果、ひっ迫する労働需給が緩み、賃金上昇にブレーキが掛かりインフレの鎮静化につながります。つまり、過度な引き締めによる景気後退(オーバーキル)リスクが、銀行破綻を契機にむしろ軽減されることになります。FRB(米連邦準備制度理事会)も同様の展開を想定していると見られます。5月初めのFOMC声明文では“信用状況の引き締まりが経済活動、雇用、インフレの重しになる可能性がある”とした上で、“追加的な引き締めがどの程度適切かを決定するに当たり、利上げの累積効果やタイムラグを考慮する”とし、利上げ打ち止めを示唆しました。
  • 無論、このように上手く事が運ぶとは限りません。現時点ではFRBの流動性供給やFDIC(預金保険機構)の預金全額保護などの対応により混乱は中堅・中小銀行に限定されていますが、金融システム全体に波及するリスクが残ります。
  • ただ、大手行を中心に銀行セクター全体では財務の健全性が強化されていること、米国の家計・企業がリーマンショック時のような過剰債務を抱えていないことから、金融システムを不安定化するような急激な信用収縮(クレジットクランチ)は起き難いと考えられます。米国経済は着陸体勢に入ったと見られますが、金融不安を伴う「ハードランディング(景気後退)」の可能性は小さいと考えます。

(りそなアセットマネジメントチーフストラテジスト 下出 衛)

投資姿勢は現状維持の方針が増加傾向

  • 三井住友トラスト基礎研究所によると、機関投資家の投資方針として現在の投資額を維持すると回答した割合は増加し、不動産投資を実行または増やす予定と回答した割合は減少しました。2021年は現状維持と実行・拡大方針を合わせた割合は9割を超えていたが、2022年の調査では76%と前向きな回答の割合は減少しました。
  • また、日経不動産マーケット情報によると2022年の国内不動産売買額は前年比▲12%と減少しています。
機関投資家による今後の不動産投資方針
(出所)三井住友トラスト基礎研究所(2022.11月~12月調査)

百貨店売上高は好調もインフレ率は上昇

  • ウィズコロナの下で商業施設市況も回復へと向かっており、特に百貨店ではその傾向が顕著にみられています。百貨店協会によると、外出機会の増加、リベンジ消費を含む高額商材の増勢、インバウンド消費の増加などを背景に、全国の2023年3月の売上高は前年同月比+9.8%、2019年比▲6.9%となっています。東京都心の主要百貨店売上をみても、コロナ禍前を上回る店舗もみられます。
  • 一方、2023年4月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、前年同月比)は+3.4%(3月同3.1%)と上昇率は拡大しており、インフレに伴う実質所得の減少から消費者マインドの低下が懸念されます。
主要百貨店売上高変動率(2017年=100)
(出所)各社HPを基に作成

新築価格は足元で下落も、依然として高水準

  • 不動産経済研究所によると、首都圏の新築分譲マンション価格は、2023年3月では14,360万円と大きく上昇し、2023年4月には前年同月比+23.1%の7,747万円となり、2か月連続で前年同月を上回っています。発売戸数は1,690戸(前年同月比▲30.3%)と対前年同月比でマイナスが6か月連続となっており、供給戸数の減少傾向がみられます。
  • 東京カンテイによると、首都圏全体の2023年3月の70㎡当たり中古マンション平均価格は前年同月比▲0.1%の4,860万円と4か月ぶりに下落となりました。一方、東京都区部では7,034万円(前年同月比+3.7%)と集計開始以来初めて7,000万円を超えました。
首都圏の新築マンション価格・契約率
(出所)不動産経済研究所

足元空室率はやや改善、募集面積は微増基調

  • 三幸エステートによると、東京都区部の2023年4月の平均空室率は5.04%(前月比▲0.05ポイント)と3か月ぶりに低下しました。大規模ビル(基準階面積200坪以上)でも足元4月の空室率は4.89%(前月比▲0.08ポイント)となっています。平均募集賃料は18,832円/坪(前月比▲98円/坪)と2か月連続で低下しました。
  • 都心5区の募集面積は70万坪程度で推移していますが、建設中ビルでは微増傾向がみられます。これは、今後竣工を予定するビルの募集開始の影響があり、大量供給が始まる2023年第2四半期以降、募集面積は徐々に増えていくことが懸念されます。
東京都区部のオフィス空室率
(出所)三幸エステート

【Market TOPICS】東京圏の地価公示

東京圏の対前年変動率の推移
(出所)国土交通省
東京圏の対前年変動率上位・下位順位表
(出所)国土交通省

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りそな銀行不動産ビジネス部
住所:東京都江東区木場1丁目5番25号 深川ギャザリア タワーS棟
TEL:03-6704-2376

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年8月25日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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