不動産レポート2023年冬(関西版)

3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2023年冬に発行された、関西向けの内容となります。

【Market REVIEW】不動産投資先として日本の人気は継続

  • PwCによると、2024年のアジア地域での都市別不動産投資見通しでは、大阪は3位へと順位が上昇しました。東京も1位に浮上しており、低金利環境などを背景に依然として日本への人気は継続するものと考えられます。一方、中国の順位は低下しており、代わってタイやベトナムなどの東南アジア、インドへの投資が増える予想となっています。
  • ニッセイ基礎研究所の不動産市況アンケート結果(2024年1月実施)によると、価格の上昇や市場の拡大が期待される投資セクターとしては「ホテル」(65%)、「データセンターなどの産業関連施設」(52%)の回答が多く、これらのアセットへの関心が高まっていることがうかがえます。また、リスク要因としては「建築コスト」(68%)が最も多くなりました。前回調査時点(2023年1月)から28%増加し、「国内金利」(59%)の回答を上回っており、高騰している建築費用の動向に引き続き注意が必要です。
アジア太平洋地域の都市別不動産投資見通し
(出所)PwC, Urban Land Institute, 「Emerging Trends in Real Estate Asia Pacific 2024」

引き続き世界経済はソフトランディングシナリオに

  • IMFによると、2024年の世界経済成長率は3.1%とし、昨年10月時点の見通しよりも0.2%ポイント上方修正され、世界経済の回復は予想外の底固さを示しています。しかし、未だに高水準にある政策金利や基調的な生産性の伸びの弱さなどが経済活動の重しとなっており、2024年・25年ともに、2000~2019年の歴史的平均である3.8%を下回っています。世界の総合インフレ率は2024年に5.8%、2025年は4.4%へと供給側の問題解消などを背景に鈍化する見込みにあります。
  • 日本の成長率は2024年・25年は減速する見込みであり、円安や企業投資の回復など2023年の経済を下支えした一時的要因が後退することが背景にあります。
主要国の経済成長率見通し
(出所)IMF(2024.1)

インバウンドを背景に小売り販売は引き続き好調

  • 経済産業省の商業動態調査によると、小売販売額は引き続き前年同月を上回って推移しており、業態別ではインバウンド需要を背景に百貨店(2023年11月時点、前年同月比107.5)とドラッグストア(同109.0)で特に好調になっています。
  • 日本百貨店協会によると、2023年12月の百貨店全体の売上高は対前年同月比+5.4%、入店客数も同+4.6%となり、両指標とも22か月連続で前年を上回って推移しています。円安効果などから引き続きインバウンドの売上が特徴的であり、3か月連続で単月の過去最高額を更新しています。
小売り販売額変化率(前年同月比)
(出所)経済産業省

新築・中古とも年間価格は高騰も上昇幅は縮小

  • 近畿圏の新築分譲マンション価格は、2023年12月には4,615万円(前年同月比+15.2%)であり、前年同月比で2ヶ月連続の上昇となっています。2023年間の平均価格は4,666万円(前年比+0.7%)と1991年の5,552万円以来の高値となりました。建築費用や用地取得費用の高騰によって販売価格も上昇する結果となりました。
  • 東京カンテイによると、近畿圏の2023年の70㎡当たり中古マンション平均価格は2,892万円(同+2.7%)であり、上昇率は縮小しました。
    特に昨年までの価格上昇をけん引してきた、大阪市では価格高騰の過熱感から鈍化が顕著になりました。一方、神戸市では2022年の前年比+5.9%から2023年は同+9.4%に上昇幅は拡大しました。
近畿圏の新築マンション価格・契約率
(出所)不動産経済研究所

大阪ビジネス地区の市況は好調

  • 三鬼商事によると、2023年12月の大阪ビジネス地区における平均空室率は4.10%(前月比-0.16ポイント)と2023年4月以降、下落トレンドが顕著にみられています。また、平均賃料は11,976円/坪(同−0.02%)と前月比ではわずかに下落していますが、2023年6月以降上昇トレンドにあります。
  • 三幸エステートによると、大阪市主要3区のオフィス新規供給量は2024年は約8.4万坪、2025年は約2.7万坪と大量供給が続く予想となっています。今年の春には「JPタワー大阪」が11月には「グラングリーン大阪」など大規模開発が竣工される見込みであり、二次空室など市況への影響も懸念されます。
大阪ビジネス地区のオフィス空室率・平均賃料
(出所)三鬼商事
※大阪ビジネス地区=梅田地区、南森町地区、淀屋橋・本町地区、 船場地区、心斎橋・難波地区、新大阪地区

【Market TOPICS】関西圏のオフィス供給計画

大阪中心3区のオフィス新規供給と空室率
(出所)三幸エステート
(注)1フロア面積50坪以上のビルを対象、空室率は年末値
関西圏の主なオフィス計画
(出所)三鬼商事

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年2月19日時点の内容となります。
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